大津市中学生自殺問題−無責任教員と教育委員会−

 大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒が、自宅マンションから飛び降り自殺した。
 学校が全校生徒860人に実施したアンケート調査では約330人から有効回答を得、その結果は7日朝日新聞の記事によると以下のとおりであった。
  ・殴る蹴る、手足を縛る、ハチを食べさせるといった暴力行為があった。
  ・暴力行為の回答は計約150件にのぼる。
 以上の回答は、半数近くが、「記名で、(回答者が)直接確認」したものであるという。
  ・一方、「自殺の練習をさせられていた」と回答した16人は、いずれも伝聞だった。

 また、担任等の教師の対応については、生徒らが昨年12月に(自殺した)生徒の家族に直接証言した内容として、6日朝日新聞に以下の記事がある。
  ・いじめたとされる生徒2人が亡くなった生徒に暴力をふるっていたのに、担任は「隣にいたが止めなかった。笑ってた。『やりすぎんなよ』って」と証言。
  ・ほかの生徒も同様の証言をし、「周りにほかの教師もいた」と話す生徒もいた。
 この問題について、(自殺した)生徒の両親が市と3人の同級生らを相手取った訴訟で、市は答弁書で教師が「あまりやりすぎるなよ」と声を掛けた部分を認め、行為をやめさせる趣旨だと主張している。

 大人の社会では、職場の安全は労働安全衛生法で厳しく規制されている。建設業や中小企業ではまだ劣悪な作業環境も多いが、大企業では家庭よりも格段に安全が確保される状態になっているところも多い。家庭というのは、意外に危険が多く潜んでおり、事故も多い。また、職場においては、セクハラは男女雇用機会均等法第21条で規制され、パワハラはまだ法的規制はないが、社会常識として認知されつつある。セクハラもパワハラも人権侵害である。

 一方、学校ではどうであろうか。小中学校は義務教育であるから生徒の安全と人権は絶対に守られなければならない。しかし、私から見ると教師や教育委員会に安全意識や生徒の人権を守るという意識が本当にあるのか疑問である。職場では毎日のように安全意識を高めるように啓発と教育を行う。朝の体操も安全確保の一環である。会社でも一般的にはいじめや嫌がらせはある。しかし、それも度を過ぎれば法的な制裁が加えられる。学校ではどうであろうか。いじめによる自殺が絶えないではないか。

 人生において、子どもの時には楽しかった記憶を多く持つほど良いと思う。この年になって良く分かる。不快な記憶はいつまで経っても消えない。そういう意味で子供の人権は守られるべきだと思う。人権教育というと特定の教育ばかりが取り上げられるが、現在の学校においては、まずいじめ問題を解消すべきであろう。学校は楽しくなければならないのである。それが長い視点で若者の将来の力になる。以前、NHKの地球イチバンでオランダの小学校の教育を取り上げていた。1960年代頃に勉強についてこれない落ちこぼれが相当数に上り、いじめもあったという。それから教育改革を進めて、今では「学校が楽しい」子どもが9割。そして学力レベルも高い。子ども一人一人の先生による記録は膨大な量である。日本の通信簿の数行のコメントとは大きな違いである。これをみるとオランダでは教育を本当に子どものために、子どもが将来まっとうに生きていくことができるように行っているのが良く分かる。学校も教師も家庭も一緒になって教育しているのである。

 日本ではどうであろう。毎年30000人以上自殺者がいても政治家も国民も自己責任だと知らんぷり。子どもが自殺しても、学校でいじめがあっても、学校も教育委員会も「いじめは認識していない」、「いじめと自殺の因果関係は不明」と逃げの一手。どこにも子供のことを真剣に考えようという気配も見えない。今回の自殺でも5月の第1回口頭弁論で市側は「いじめが自殺の原因かは断定できない」と主張している。こういうワンパターンの責任回避の回答をして仕事をしているような気になっている、保身の術しか知らないような教育委員会は早く潰した方が良い。こういう状態が続くようなら法で「子供が自殺し、学校でいじめの存在が明確になった場合は、教育委員会と関係教員は死刑とする」という法律を作ればよい。そうすればこのような「いじめと自殺の因果関係」論争は無くなり、教育委員会も教員も真剣になるだろう。

 今年から中学校で武道が必修化された。しかし、中学の現場はどうか。柔道をやったこともない教師がにわかに柔道の指導を受けて生徒に教える。要するに素人が教育をして本質が教えられるか!こんな底の浅い、糞みたいな教育をしようとするから駄目なのである。偽物教育を百年やっても本物は育たない。逆に本質を見失うことになる。また、武道は危険である。特に柔道の事故発生率は非常に高い。28年で114人以上の死亡事故。死亡に至らなくても一生寝たきりになるような重大なものがある。受け身の練習だけでもやり方を間違えれば、重大事故につながる。

 こういうと生徒を甘やかしたいのか?と反論されるかもしれない。私は生徒を甘やかせと言っているのではない。運動会の騎馬戦も良し、武道も良し。但し、根性論ではなく、正しい科学的知見に基づいた対策を立てた上でやらせろと言っているのである。フランスの人口は日本の半分しかないのに柔道の登録競技人口はフランスの方が2倍以上。そしてフランスでは日本のような死亡事故は発生していないと言われている。それは日本では、柔道の指導者は、自分自身が強ければ良いのに対して、フランスでは、柔道指導者は国家資格であり、生理学、解剖学、救命方法、精神教育学など380時間以上の講習と資格試験を受けなければならない。要するに日本の指導者は、指導法を知らなくても指導者になれるのに対して、フランスでは強さだけでなく、指導法や事故を防ぐための知識と技術を有していなければ指導者になれないのである。

 今日の夕刊にまた大津市の自殺の続報が載っていた。市教委と学校の説明は以下の通り。
  ・自殺した生徒といじめたとされる生徒らは、昨年7月から仲が良くなった。
  ・夏休みに一緒に大阪へ遊びに行った。
  ・9月以降、自殺した生徒への暴力などが見られるようになった
  ・9月、自殺した生徒といじめたとされる生徒が廊下に転がり、プロレスのような行為をしているのを担任が目撃。
   担任は「大丈夫か」などと声を掛け、注意した
  ・暴力的ないじめを受けていると他の生徒から2回教師に連絡
  ・担任は10月1日放課後に(自殺した)生徒に声を掛けると「大丈夫」という返事だった。
  ・4日後にもけんかのような状態になり、担任が両者から事情を聴く。自殺した生徒は、「相手とも仲良くしたい」と返事。
 一方、学校関係者によると、
  ・昨年9月、生徒の父親が「息子の金の使い方が荒い」と2回にわたり学校へ相談。
  ・(自殺した)生徒は7月以降、自分名義の口座から数万円単位の現金を引き出し、1回に10万円以上になったこともあり、ゲームソフトや部活の道具を購入したと説明していたという。

 市教委は少年が自殺した後の昨年11月の会見で、当時の担任教諭の対応について、「いずれもいじめがあると認識できていない」と説明していたが、そうであれば、@この担任の感性が相当低いか、A市教委が責任回避を図ったかのどちらかである。@なら担任は、教員不適格者として即刻首にすべきである。Aなら市教委職員全員解雇すべきである。責任を取りきらない無駄金食いの公務員は不要である。

 私は教師に対して厳しく言うが、現在の教師は気の毒な面がある。モンスターペアレントと言われる非常識な馬鹿親。大量の生徒を抱えて、事務処理、集金、苦情処理。こんなことは、教師のすることではない。モンスターペアレント対応は、暇な教育委員会にさせたらよい馬鹿親に甘やかされて育って、言うことを聞かない生徒は言って聞かせて、やって見せて、それでも言うことを聞かなければぶん殴れば良い。私達が子どもの頃は、教師による生徒に対する暴力は普通のことだった。私は子どもに対する暴力には反対である。しかし、殴られても、叩かれても心の中でありがとうございますと後になって思える教師がいたことも事実である。生徒は馬鹿ではない。大人以上に敏感である。教師から叩かれても、教師が心から叩いているのであれば、生徒は理解している。そんな教師でなければ、暴力は厳禁なのである。なぜなら暴力は、物事を解決するのに暴力が有効であることしか教えないからである。暴力は連鎖する

(2012年7月7日 記)

 大津市教委の隠ぺい体質、自殺との因果関係を不明と判断した内部会議資料の議事録が無いこと等の出鱈目な対応に対して遂に元弁護士の越直美大津市長が立ち上がった。アンケートの「葬式ごっこ」などの記述を市教委が見落としていたというが、隠したのは間違いない。滋賀県警もやっと重い腰を上げた。徹底的に調べ上げるべきである。日本は無法地帯ではない。
 今回の件について教育員会は最初から腐った組織と分かっているからどうでもいいが、教師とその組合がだんまりを決め込んでいるのはどういうことか生徒の安全よりも同僚をかばう方を優先するのか。生徒の安全よりも自分と自分の家族の方が大事なのか。本当に腐りきった教員どもである。賠償金は教委職員と教員の給料を半減させて工面したらよい。教委と教師にワーキングプアの経験をさせれば真剣さも変わってくるだろう。
 生徒が自殺して、同級生たちが心から反省しているのに、全く反省せず、隠ぺいする市教委とそれに従う教員ども。お前たち腐れた大人が子供たちに教えることは何もない。お前たちが生徒に接することによって、生徒は汚されるだけである。お前たちには他人を犠牲にしても自分達だけ助かろうという保身の気持ちしかない。腐った最低の人間。それが教師か。
(2012年7月11日 記)

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